ファンダメンタル・テクニカルどっちを重視すべき?意外な結果とは〜ウォール街のランダム・ウォーカー

2020/02/11

資産運用 資産運用-基礎

 

株で儲けたい。
誰しも一度は思うのではないでしょうか。
かく言う僕もその1人です。

僕自身、株式投資自体は数年前から細々と始めていたものの、明確な投資判断の基準などなく、なんとなくニュースやツイッターで話題の銘柄に飛びついていました。

なので、2018年12月の一時的な暴落で狼狽売りをしてしまい、かなりの損をしてしまいました。

投資に「たら・れば」はありえないのですが、結果的には2019年10月頃には暴落前の元の水準に戻った為、振り返れば2018年12月はバーゲンセールで買うべきタイミングだったのです。

この教訓から、やはり自分なりの投資判断の基準や信念を持って投資に臨むことが大切だと考え、投資に対する考え方を学ぼうと「ウォール街のランダム・ウォーカー」という書籍にたどり着きました。




この本で、自分なりの判断基準を身に付けるという当初の目的だけでなく、

「ニュース等で今の株価は割安だ・割高だと言われるけど、どうやって判断しているの?」
「ファンダメンタル分析とテクニカル分析と、どっちがより確実に儲かるの?」

といった、前から疑問に思っていたことも解決できたので、備忘録として記事にまとめます。

株式投資の前提知識

まず基本的な話ですが、「株式投資で勝つ・儲ける」には「投資で使った以上のリターンを得る」必要があり、そのためにはインカムゲインとキャピタルゲインがポイントとなります。
株式投資で得られるリターン

インカムゲイン

  • リスクを取って株式を保有していることへのご褒美である配当収入
  • 投資した金額以上の現金を配当収入で溜めることで、投資回収を目指す
キャピタルゲイン
  • 株式そのものの値上がりによる売却益
  • 安い時に買い高くなった時に売る、売買差益による投資回収を目指す

教科書的には、

  • 配当:企業の利益から株主へ分配されるもの
  • 株価=1株あたり利益(EPS)×株価収益率(PER)

という関係なので、配当額も株価も企業の利益に左右されることから、株式投資でリターンを得る為に着目すべきは将来的に企業が稼ぐ利益となります。

そして、個別銘柄の投資戦略として、大きく分けてファンダメンタル分析派とテクニカル分析派に分類することができます。

ファンダメンタル分析派


財務情報をもとに企業の適正株価(=本質価値)を推定し、それより今売買されている株価の方が低い(=割安な)場合、その銘柄を買って「安く買って高く売る」を実践しよう、というのがファンダメンタル分析派の戦略です。

株価変動の90%は合理的なものであるとファンダメンタル分析派は考えます。

株式は需要と供給の関係で価格が決まるので、今の割安な株価は将来買われて適正株価まで値上がりするため、割安な銘柄を買えば儲かる!という考え方です。

そうすると、そもそも適正株価ってどうやって計算するの?という疑問が当然出てくると思います。

ファンダメンタル分析派の投資家は、次の4つの要素を市場平均と比較して、その企業の適正株価を推定します。
ファンダメンタル分析派の注目ポイント

  • 利益と配当の期待成長率:成長率が高い・高成長の予測期間が長い→PERは高くなる
  • 支払配当額:現金分配・自社株買いで株主への還元割合が大きい→PERは高くなる
  • リスクの度合い:配当を含む総リターンの変動が市場平均より小さい→PERは高くなる
  • 金利水準:金利水準が低い→PERは高くなる

よくニュースで聞く「今の株価は割安だ・割高だ」というのは、このような株価の算出要素を競合他社や市場平均と比べて言及していたんですね。

PERが、競合他社は16倍で市場平均は15倍の時に、ある企業は12倍だったらその企業は割安だ、と判断するのです。

ファンダメンタル分析派の弱点

ここで、「よし、この銘柄は割安だから買いだ!」と、すぐに買ってはいけません。

一度冷静になって、なぜその企業が今も割安(=PER12倍の株価)な状態でいるのか、を考えるべきです。

投資家は基本的には合理的なので、何らかの要因で一時的に割安な株価になっている株式があったら即座に買うはずです。

株価は需給で変動するので、買われれば株価は上がり、割安ではなくなってしまいます。

それなのに今も株価が割安のままだという場合、今の割安な株価が適正価格だと他の投資家が評価した何らかの理由があるはずです。

(競合他社と比べて不利な点があって、それを克服できそうにない、等)

その理由は何か、それは解決できそうか(=今後買われて株価が上がりそうか)を特定・判断してから銘柄を売買するべきなのですが、これが難しいのです。

なぜなら株価は様々な要因で変動する為、「これこそが理由で割安だ」という唯一の正解が無く、答えが1つにまとまらないのです。

その為、アナリストレポートの分析結果や企業の公開情報をもとに推定する適正価値は、必ずしも正しいとは限らないことに留意する必要があります。

テクニカル分析派


一方、テクニカル分析派は、株価チャートの過去の変動から、ある特徴・兆候が見られたら株価が上がる・下がるという法則・パターンを発見できると考えます。

それを活用して儲かる可能性の高いタイミングで売買を実施しよう、というのがテクニカル分析派の戦略です。

株価変動の90%は心理的なものであるとテクニカル分析派は考えます。

過去のチャートの推移から他の投資家が今後買うか・売るかという需給を予想し、それを根拠に売買して儲けよう、という考え方です。

テクニカル分析派は、株価変動には2つの原理が存在すると考えています。
テクニカル分析派が考える株価変動の原理

  • 株価チャートには、ファンダメンタル情報が全て反映・織り込まれている
  • 株価はトレンドをもって動く傾向がある

原理1:株価チャートには、ファンダメンタル情報が全て反映・織り込まれている

株価チャートは株価の推移を表すもので、株価は需給によって決まります。

そして、ファンダメンタル分析派の投資家は株式を財務等のファンダメンタル情報をもとに売買することから、株価はその時その時の需給を概ね反映していると言えます。

その為、テクニカル分析派はファンダメンタル情報そのものを投資の判断基準とはせず、それを織り込み済のものとしてチャートを判断基準とします。

原理2:株価はトレンドをもって動く傾向がある

トレンドとは傾向のことで、テクニカル分析派は次の理由から「株価は、一旦上がったら上がり続け、下がったら下がり続ける」と考えます。
トレンドが発生する理由

  • 「この流れに乗り遅れまい」という群衆心理が、一旦始まったトレンドを持続させる
  • 投資家間で、企業のファンダメンタル情報の入手能力に差がある
  • 投資家は新しい業績情報に対して、当初は過小に反応する傾向がある

テクニカル分析派の弱点

ただ、テクニカル分析も万能ではありません。

まず、同じ手法を使う投資家が増えれば増えるほど儲からないという構造的な問題があります。

今後予想されるトレンド(上げか下げか)と現在の株価のギャップがあるからこそ、テクニカル分析派はそのギャップを利用して儲けられるのです。

ですが、もし他の投資家が同じ手法で売買すると即座にギャップが無くなってしまい、儲けのチャンスが消えてしまいます。

また、投資家は株価が変動するニュースが発生すると即座に行動して株価トレンドが作られるため、予想するより前にトレンドが発生することになります。

これでは予想をもとに儲けようにも、その余地がないのです。

ファンダメンタルとテクニカル、どっちを重視すべきか



このように、ファンダメンタル分析もテクニカル分析も、どちらも片手落ちで万能な投資戦略ではないことを認識する必要があります。

勿論、どちらもある程度は有効な戦略なので、より腹落ちするとか、自分の考え方に合った戦略をとるべきだと思います。

では、2つの戦略以外により完成度の高い投資戦略は無いのか?

それを次の記事でまとめていきます。

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