資産運用・資産形成において、かなりのインパクトがあるのが株式投資です。
ここでは、僕が気になった企業について、3C分析のフレームワークに沿ってどのような企業なのかを紐解いていきます。
なお、分析に使用したのは会社HPとバフェット・コードです。
6564ミダックの分析サマリー
評価できるポイント
- 景気に左右されにくい業界・業種であること
- 高い収益性を実現するビジネスモデルであること
- 市場シェア拡大によるアップサイド余地があること
注意すべきポイント
- 事業許可の取消等で事業継続できないリスクがあること
- 機械設備や埋立地の新設・増設の為に、継続的な資金調達が必須であること
- 埋立地の新設・増設にあたり、自治体の許可が下りないリスクがあること
- のれんの償却負担と減損リスクがあること
Company - 自社について
ミダックの基本情報
ミダックは、静岡県浜松市に本社を置く廃棄物処理事業者です。- 1952年:静岡県浜松市に、一般廃棄物取扱業務を行うことを目的として「小島清掃社」を創業
- 1964年:社会的信用の向上を図ることを目的として小島清掃株式会社を設立
- 1972年:静岡県の許可を得て、産業廃棄物の収集運搬業務、処分業務を開始
- 1996年:商号を「株式会社ミダック」に変更
現在では、事業者の廃棄物処理・管理等に関する以下3つのソリューション事業を展開しており、静脈産業の商流全てを網羅しています。
ミダックの事業内容
- 廃棄物処分事業:自社施設による廃棄物処理サービス
- 収集運搬事業:廃棄物の収集運搬サービス
- 仲介管理事業:処理業者への排出事業者紹介サービス
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| 出所:ミダックHPから作成 |
それぞれの事業ごとの売上高と営業利益率は下図のようになっており、売上高・営業利益ともに約80%以上を廃棄物処分事業(中間処理+最終処分)が占めています。
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| 出所:ミダック決算説明資料 |
事業拠点は、主に関東地方から中部地方に展開しており、今後は廃棄物の排出量が最も多い関東方面へ焼却施設・最終処分場の展開を目論んでいます。
なお、最終処分事業は完全子会社である株式会社ミダックはまなが担当しています。
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| 出所:ミダック決算説明資料 |
ミダックの財務情報
ミダックは時価総額275億円(2020/9/15時点)で、直近2020/3期の業績は売上高52.1億円、営業利益15億円、営業利益率28.7%です。![]() |
| 出所:バフェット・コード |
BSについては固定資産の割合が大きいですが、この大半を、企業買収に伴うのれん・廃棄物処理の為の機械装置・最終処分場が占めています。
これらの調達として主に銀行借入を利用しており、直近2019/3期は総資産の55%を有利子負債が占めています。
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| 出所:バフェット・コード |
Competitor - 競合他社について
Googleやバフェット・コード、証券会社アプリで「廃棄物処理」で検索し、時価総額が比較的近い規模の以下企業を比較対象としてピックアップしました。- 2151タケエイ
- 9793ダイセキ
- 6566要興業
- 2195アミタホールディングス
ダイセキと要興業は収集運搬と中間処理のみ自社で実施しています。
一方、タケエイは最終処分まで網羅しており、ミダックのビジネスモデルと非常に似ていることが分かります。
また、アミタホールディングスはその取扱業務から、そもそものビジネスモデルがミダックと異なるように見て取れました。
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| 出所:各社HP・IR情報から作成 |
Comps
比較対象とした企業の事業内容は上図の通り微妙に異なっており、それが投資家からの評価に反映されているようです。投資家からの評価の指標として、PER(=株価÷1株あたり当期純利益)で比較します。
すると、ミダック(PER 19.6x)について以下のことが読み取れます。
- ビジネスモデルが酷似しているタケエイ(14.3x)よりも高PERである
- 最終処分事業を展開していないダイセキ(16.1x)よりも高PERである。
- 最終処分事業を展開していない要興業(23x)の方が高PERである。
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出所:バフェット・コードから作成(2020/3/9時点)
単位:百万円
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1と2について、ミダックは、タケエイやダイセキよりも営業利益率とROEが高いです。
ミダックの方が、この2社より効率的に稼げるビジネスモデルであることが、高PERに寄与しているのではと推測されます。
ところが3について、指標とPLだけでは、ミダックの方が営業利益率・ROEともに高いにもかかわらず、要興業の方が高PERであることの説明がつきません。
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出所:バフェット・コードから作成(2020/3/9時点)
単位:百万円
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総資産に占める有利子負債の割合を比較すると、ミダック(55%)よりも要興業(13%)の方が低いことが分かります。
これは、要興業が最終処分事業を展開しておらず、埋立地取得の為の資金調達が不要なことが一因では、と推測されます。
一方でミダックは、最終処分の為の埋立地取得に加え、同業他社のM&Aに伴う資金調達の結果、多額の有利子負債を計上している状況です。
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出所:バフェット・コードから作成(2020/3/9時点)
単位:百万円
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有利子負債が多い=銀行への依存度が高い為、景気悪化時には銀行による融資引き上げ・貸し剥がしによる資金繰り懸念のリスクが想定されます。
このようなリスクを折り込み、3について、投資家はミダックよりも要産業を高く評価(=高PER)しているものと推測されます。
Customer - 市場・外部環境について
産業廃棄物処理業界の市場規模は約5.3兆円と推定され、そのうち約40%を関東地方が占めています。![]() |
| 出所:ミダック決算説明資料 |
扱い商品である産業廃棄物ですが、その排出量はここ10年程度で横ばい〜微減で推移しています。
最終処分量については、2009年までは減少傾向でしたが、それ以降は横ばいで推移しています。
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| 出所:ミダック決算説明資料 |
市場シェアについて、ミダックを含む大手企業(売上高10億円以上)の占める割合は小さいです。
廃棄物処理業界は、大手企業による市場シェアが低く、多数の小規模事業者がひしめく業界だと見受けられます。
また、廃棄物処理事業は許可制の事業です。
廃棄物処理業務の遂行と、廃棄物処理施設の新設・増設の際には、都道府県知事または政令市長の許可が必要となります。
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| 出所:H26.10.24環境省「廃棄物処理の許可制度について」から作成 |
分析のまとめ
評価できるポイント
- 景気に左右されにくい業界・業種であること 廃棄物は景気に無関係に一定量排出される為、景気変動で売上高が変動することは考えにくく、毎期安定した受注を期待できます。
- 高い収益性を実現するビジネスモデルであること 収集運搬・中間処理・最終処分の全ての商流を一気通貫で対応することで、競合優位性を構築し高い収益性を実現しており、毎期一定のキャッシュフローを期待できます。
- 市場シェア拡大によるアップサイド余地があること 大企業による市場シェアが低く小規模事業者が多数存在する、という業界特徴から、競合他社のM&Aによる商流の強化・規模の拡大を狙う余地があります。
懸念されるポイント
- 事業許可の取り消し等で事業継続できないリスクがあること 廃棄物事業の許可取り消しや許可の更新拒否により、全ての廃棄物処理事業を展開できなくなる可能性があります。
- 機械設備や埋立地の新設・増設の為に、継続的な資金調達が必須であること 処理設備や埋立地等といった固定資産の新設・更新が必要な資本集約型ビジネスである為、定期的に多額の資金調達が必要となります。
- 埋立地の新設・増設にあたり、自治体の許可が下りないリスクがあること 埋立地の建設予定地の周辺住民との紛議や反対運動、それに伴う自治体からの許可取り消し等で用地確保が難航する可能性があります。
- のれんの償却負担と減損リスクがあること ミダックはまな(最終処分事業)等の子会社買収に伴うのれん残高が、2019/3期時点で16.5億円(償却額:2.5億円/年)計上されています。
現時点では銀行借入を中心とした資金調達である為、景気動向次第では銀行による貸し剥がし・貸し渋りの憂き目にあう可能性があります。
そうなると、埋立地を新設できず、最終処分事業を展開できなくなってしまいます。
子会社の業績次第でのれんの減損処理が必要となり、多額の特別損失が発生するリスクがあります。
この投稿ではビジネスモデルを中心に書きましたが、投資すべきかどうかの判断にあたり、押さえておくべき考え方を下の記事にまとめました。
特に「ウォール街に勝つための4つルール」は、知っているのと知らないのとではトータルリターンにかなりの差が出てくると思います。
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